帯状疱疹ワクチンが2025年4月から定期接種になります

帯状疱疹とは

水痘ウイルスが原因で皮膚に痛みや痒みを伴う発疹が出る病気です。水痘ウイルスは幼少期に多くの方が感染し、神経に長年潜伏します。成人の約90%が水痘ウイルスを保持していると言われています。

神経に潜伏していたウイルスが、体力低下や免疫の低下を理由に再活性化し、神経の走行に一致した水疱(水ぶくれ)を形成したり、皮疹(ブツブツ)が生じるのが特徴的です。右の写真のように肋骨のすきまの脇腹に生じるものが典型的ですが、頭や顔に発生することもあります。

皮疹出現の3-5日前に75%の方で痛みや違和感を感じると言われており、早めの治療を行ったほうが皮疹が拡がらず皮膚に跡が残りにくく、痛みやしびれの後遺症を防ぐことが出来ますので、おかしいなと思った場合は早めに当院へご相談ください。(帯状疱疹後神経痛の頻度は50歳を超えると20%、80歳を超えると35%と言われており、年齢と共に後遺症を残す可能性も高くなることが知られています。)

後遺症が残る場合は、長期間鎮痛剤の定期内服や注射の治療などが必要となる場合もあります。

50歳以上は帯状疱疹に要注意!

帯状疱疹は50歳以上で発症率が高くなることが知られており、年齢と共に免疫の低下がみられることや、小児水痘患者が減少し、水痘ウイルスへの暴露機会が減少したことが原因と考えられています。80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症すると言われており、50歳以上の方は特に注意が必要です。

そのほかにも帯状疱疹の発症に関連がある疾患として、がんや高血圧、糖尿病、自己免疫性疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)、腎不全などが知られています。

帯状疱疹ワクチンについて

帯状疱疹ワクチンは、生ワクチ不活化ワクチンの2種類があり、生ワクチンは以前から小児水痘の予防ワクチンとして使用されていたものをもう一度接種するというものです。不活化ワクチン(サブユニットワクチン)はシングリックスという近年新たに開発されたワクチンで、2回接種を行うことで帯状疱疹の発症予防や神経痛の後遺症の予防効果が生ワクチンと比較して高いものとなっています。また生ワクチンは5年後の予防効果が落ちてしまうことが知られていますが、シングリックスでは接種後10年経っても予防効果が落ちにくいことが知られています。

シングリックス (Shingrix)国産ワクチン (ビケン)
種類不活化ワクチン生ワクチン
接種回数2回 (初回と2か月後に接種)1回
発症予防約90%の発症予防効果(50歳以上、免疫低下者にも効果が高い)約50〜70%(年齢とともに効果が低下)
後遺症予防帯状疱疹後神経痛の予防効果が高い(85.5~100%一定の予防効果はあるがシングリックスに劣る(66.5%
副作用接種部位の痛み、発赤、発熱、倦怠感が比較的高頻度で見られるが一過性軽度の接種部位の痛み、発熱など
接種方法筋肉内注射皮下注射
効果の持続期間9年以上約3〜5年
対象年齢50歳以上50歳以上
免疫力低下者への推奨可能非推奨
費用22,000円 × 2回9,900円 × 1回
  1. 厚生労働省. 「帯状疱疹ワクチンの接種について」
  2. CDC (Centers for Disease Control and Prevention). “Shingles (Herpes Zoster) Vaccination”
  3. 日本ワクチン学会. 「帯状疱疹ワクチンの最新情報と接種ガイドライン」

帯状疱疹に一度かかったことがあっても再発することがありますので(再発率 約6%)、再発予防や再発時の後遺症予防としてワクチン接種は推奨されます。発症後どのくらいの期間をおいたらよいのかという決まりはありません。

当院では予約制にていずれのワクチンも接種可能です。また50歳以上で浜松市在住の方は、いずれも3,500円/回の助成が受けられます。お悩みの方や接種ご希望の方は医師までご相談ください。

帯状疱疹ワクチンの定期接種化について

厚生労働省から、2025年4月より65歳において帯状疱疹ワクチンの定期接種化、費用の一部公費負担されるとの発表がありました。66歳以上の方も、経過措置として5年間は接種が可能となります。

対象者詳細
65歳の方2025年4月1日以降に65歳となる方が対象です。
60歳以上65歳未満で、
特定の免疫機能障害を有する方
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能の障害で、日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する方が対象です。
経過措置としての対象者定期接種開始から5年間(2025年度から2029年度)に限り、以下の年齢の方も対象となります
70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳
※100歳以上の方は、2025年度のみ全員が対象です。

助成額の詳細などは追加の発表を待つ必要がありますが、ワクチンの金額がネックで悩んでいた方は定期接種化されるまで待たれてもよいかもしれません。もちろん、帯状疱疹の発症リスクを早く抑えたい、という方は定期接種化される前でも地方自治体の助成を利用してワクチン接種を行ってもよいと思います。

「いつワクチンを受けよう?」、「どちらのワクチンがいいの?」、「自分はワクチンを打っても大丈夫?」などご質問に関してはお気軽に医師までお尋ねください。